【2007年(平成19年)5月30日】
- 社会福祉法人は、改めて申しあげるまでもなく極めて公益性の高い法人でありまして、その運営の適正性と幅広い情報開示への要請は当然のごとく高いところであり、これらの要請に的確に応えるとともに、法人の適正な運営を確保するためにも、一定の会計基準にしたがって統一的に公正妥当な会計処理が行われることが必要とされているところです。
- また、社会福祉事業の安定的かつ円滑な継続、就労支援の生産活動の拡大等といった経営管理の面から見ても、事業毎の収益・費用の把握とその分析、それに基づく経営判断等が必要不可欠であることは言うまでもなく、このような点からも事業毎にキチンとした会計処理をしていただく必要があるところです。
- 「就労支援の事業の会計処理の基準」は、このような要請や必要性に応えられる会計処理の基準として策定されたものですので、これに則った会計処理を行うことは極めて重要なことでして、これによって各事業における無駄なコストの削減、法人としての高コスト構造の是正、各事業の安定的な運営、事業収益の増大による賃金・工賃の増加等が可能になるところです。
- 社会福祉法人は、その安定的な運営を行うため、従来の「施設管理中心」から「法人経営」への転換が必要であるとされているところですが、一般的に法人経営については、適切な会計処理により事業毎の収益・費用を適切に把握しなければ、中小企業といえども安定的な法人運営は不可能であるとされています。
- その上、生産活動を行う場合については、適切な会計処理に基づいて生産管理を行っていかなければ、本当の意味で円滑な事業運営、事業の拡大、事業収益の増大はできないとされているところです。
- したがいまして、事業区分を設けて会計処理を行うことは、「多大な労力を費やす意義があるのか」という考えはむしろ誤りで、「当然に必要があることだ」という考え方をしていただくことが必要であると考えております。