生活訓棟は、視覚障害者の社会適応を図るものである。社会適応という言葉は、Personal Adjustmentとして考えられるべきもので、対社会という実体があって、それに順応することを意味しているわけではない。あくまでも個人が社会の成員として生きることを意味している。
したがって、生活訓練とは「視覚機能に何らかの損傷を受けた人達に対して、過去に学習してきた経験や残存諸感覚機能を効果的に利用し、また補助具を活用して、身辺自立から生活自立に欠かせない移動技能、コミュニケーション技能、日常生活技術、レクリエーション技能、視覚障害者が生活するために必要な知識などを獲得できるようにし、そのプロセスは、視覚障害という欠損部分を代償的な行動に置き換え、精神的にも行動的にも視覚障害が発生する以前の生活を獲得できるように総合的に指導・訓練する体系である。」と定義される。
視覚障害者の社会適応の過程は、人によって異なるが、多くの視覚障害者は、その困難さに克服できない場合もある。これは、視覚障害が、肉体的な打撃とともに精神的な打撃を被ることによる。視覚障害という現実を認容することの難しさは、中途視覚障害者のほとんどが自殺を考えたことがあるという多くの報告に示されている。