CAGTプログラムによって訓練をうけた脳卒中片麻痔患者と通常の歩行訓練プログラムを処方された患者のMⅥrSを比較した。
44-80歳の脳卒中片麻痔患者30名が研究に参加した,脳卒中発症から歩行訓練開始までの期間は4-20過であった。17名は通常の歩行訓練プログラムを少なくとも5過(範囲:5-14過)はうけた(対照群)。残りの13名は4過(範囲:4-10週)以上にわたってCAGTプログラムによる訓練をうけた(実験群)。両
群の患者には,発達的アプローチによる理学療法(中村1977)が処方されていた.表2に訓練開始時における対照群と実験群の特性を示す。歩行の測定は歩行訓練開始前,その後は毎週1回行い,少なくとも4週は測定を継続した。歩行要素(MWS.WR.SL)の経時的変化を記録した。
性差を除いて,両群の特性に有意の相違はなかった.脳卒中患者の性差は歩行パフォーマンスの障害とは関連しない(Holdenetal.1986,Bohannon1987)ことから、両群間の歩行要素変数の相違は歩行訓練プログラムの違いiこよると考えてよい。図4にMWSに対するMRとSLの経時的変化の関係,TSOとMWSとの関係を2例(N.T..K.K.)掲げてある。対照群と実験群に属する患者である。両者ともMWSに対するWRとSLは基準値に沿っているが,K.K.のほうがN.T.よりも基準値に一致している。TSO(x)とMWS(y)との関係は双曲線関数y=A-B/Ⅹによって示すことができる。N.T. と比べて、K. K. のほうが相関関係は高い。この式を各患者のデー列こ適用し,パラメータA,Bと相関係数を得た(表3)。
xとyとの間に有意な相関がある患者数とない患者数との比率は,実験群が対照群よりも高くなっていた(p<0.05)。このことは、CAGTプログラムは実験群においては歩行能力の回復を予測することに利用可能なことを示している。さらに,有意相関のある実験群患者のパラメータAは,対照群患者パラメータAと比べて大きい傾向にあり,達成される可能性のあるMWSは実験群で高いことを示唆している。CAGTプログラムは,患者の認知機能を利用し,歩行能力の自然回復を促進し,機能的利得を高める。また,CAGTプログラムは歩行能力,すなわちMWSの予測も可能にする。