1 患者の心理と人間関係
患者は現在の病状や残存視機能を充分に把握していないため、必要以上に病気に対して不安を抱いている場合がある。ロービジョンクリニックではじめて診察を受ける場合でも、医師の前では緊張や不安が強くなかなか自分の障害をうまく伝えられない。そこで患者を総合的に評価するには必要に応じて何度も来院させ時間をかける必要がある。口本の社会では閉鎖的な古い価値観が根付いており、本人や周囲がその障害を受け入れる事は至難である。また肢体障害に比べ視覚障害は他者には認知しづらい事が問題をさらに複雑にしている。
2 就労の問題
私たちは患者の残存視機能の活用への助言や援助を行う。個々の患者によって異なる就労条件をカウンセリングであきらかにする事で、社会適応訓練方針を定めてゆく。また必要であれば職場に赴き 会社の上司、同僚と実際に会って就労環境を調整する。
3 就学の問題
患者が学生の場合、学力を考慮しながら残存視機能の活用や適した学習法を検討する。
患者への援助は視機能活用や社会適応技術訓練が主となる。子供の場合、自分の障害を充分認知していないので両親や教師の指導が重要である。また、学校の選択として「普通学校か盲学校か」という質問も少なくない。教育機関と連携をとりじっくり検討する必要がある。
4 経済状態
患者にとって生活基盤である収入は重要なポイントである。扶養家族がいる場合は、残存視機能を駆使して就労継続を第一の目的とする。必要に応じて 年金、保険、職業訓練を紹介する。