JIS T9251は、誘導用ブロックを歩行方向の指示と危険の警告という2つのメッセージを効率よく伝達するための最低限の要件として、形状及び寸法を定めたものである。誘導用ブロックとしての機能を発揮するためには、これ以外の要件についても検討が必要である。
特に、最も重要な問題は色の問題であろう。弱視者の場合は必ずしもブロック上は歩かず、ブロックの色を目で追いながら歩行する場合が多い。つまり、誘導用ブロックに要求される重要な要素としては、触覚を通して認知しやすいパターンであることの他に、天候にかかわらず路面との高いコントラストが得られる色の設定が上げられる。日本では通常のアスファルト路面では黄色がもっとも視認性に優れていると考えられており、誘導用ブロックは主に黄色で製造される場合が多い。加えて、耐候性、対摩耗性、雨天時の滑りにくさなども重要な要素と考えられる。
とはいえ、視覚障害者の利便性のみを優先した誘導用ブロックを敷設することは、逆に車いす利用者にとっては走行の妨げになったり、高齢者にとってはつまずきの原因になると指摘されることもある。さらに、都市の景観などをも包含したユニバーサルデザインのための手法の開発により、より多くの人にとって有用性の高い誘導用ブロックへと今後発
展することが期待される。