身体障害をもつ人々にとって、移動障害は社会参加に対する極めて大きな制約因子である。本センターでは、開設以来様々な身体障害をもつ人々の自動車操縦訓練に力を注いできた。
肢体不自由者は、装具、杖、車いすなどを用いて移動能力を回復、向上させ、日常生活の自立性を高めてきた。こうして獲得した移動能力を、社会生活で飛躍的に発揮させるものが自動車である。自動車を自らの手で動かすことにより、生きる世界は飛躍的に広がる。自動車は、生活の必需品であると共に、活動範囲は拡大し、選択肢が増え、自由度が増し、未知の世界への翼にもなりうる。
本マニュアルは、当センターにおける肢体不自由者の心身特性に合った車を用意するための各種の工夫、操縦訓練について、長年の経験をまとめたものである。一人でも多くの肢体不自由者に役立てられることを期待する。