1 誘導用ブロックの形状に関する基本的な考え方

初めて誘導用ブロックが敷設されてから35年以上経過した。現在、日本国内では、一般的に屋外用は60mm程度の厚みのあるコンクリート製ブロックをアスファルトの路面に埋め込んで敷設する方法が、屋内用は5mれ1程度の薄い硬質プラスチック製のブロックを接着剤で床に貼り付けて敷設する方法がとられている。また、色に関しては、弱視者の視認性にも配慮し、路面との高いコントラストが得られる黄色が広く普及している。

当初は、ドーム形の並列48点の点状突起を持ったコンクリート製ブロックを用いていたようであるが、線状や小判型の突起、千鳥状の配列をした点状突起などが開発されてきた。

こうして日本国内では多様な誘導用ブロックが使用されるようになった。誘導用ブロックが視覚障害者に伝えるべきメッセージは以下の2点に集約される。

・ 場所や方向に関する警告
・ 安全な進行方向

これらを効率よく伝えるために様々な開発が試みられてきたのであるが、設置者の意図したメッセージが正しく視覚障害者に伝えられるためには、メッセージを誤りなく伝えるとともに、他の歩行者に不快感を与えないことが望ましい。

誘導用ブロックの機能は、それが敷設してあることから視覚障害者が環境を認知し、歩行におけるオリエンテーションの補助をなすことにある。このことから、誘導用ブロックの形状に対する要件は以下のようにまとめられる。

a 触覚を通して誘導用ブロックのパターンを識別しやすいこと。
b 誘導用ブロックのパターンの切り替えが認知しやすいこと。
C 上記パターンの識別、認知が白杖によっても可能であること。
d 誘導用ブロックの上を歩きやすいこと。(安定感、方向のとりやすさ、突起の感覚など)
e 全盲者のみならず、弱視者にとっても視認しやすいこと,
f 連続して敷設したとき、パターンも連続していること。

このような要件を満足する形状を定めるために、通商産業省工業技術院では1996年から1998年にかけて誘導用ブロックに関する標準基盤研究を行い、パターンの認知のしやすさについての研究を行った。この結果に基づき、1999年標準情報TR T OOO6:1999「視覚障害者誘導用ブロックのパターンの触覚による識別率及び難易度の推定方法」が工業標準調査会より公表された。このTR(日本語版のみ)は工業標準調査会のWeb siteより公表されている。(URLはhttp://www.jisc.go.jp/newstopics/tpk/tp908blk.htm accessed on 2003/12/12)

なお、上記標準基盤研究の報告書も公表されている。
(URLはhttp://unit.aist.go.jp/pubrel/indusstan/1jis/theme/final/finalreports/yudou/index.htm。英語版はhttp://unit.aist.go.jp/pubrel/indusstan/1jis/theme/final/finalreports/yudou/e-report.htm)

この結果に基づいて制定されたのが「JIS T9251:2001視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状、寸法およびその配列」である。

投稿日:2002年12月26日 更新日:

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