異なるMFT-Sの片麻痺患者たちに、どのような活動あるいは課題が割り当てられているのかを後向き調査によってデータを収集し、活動選択の規則を検討した(森山・他1997).
失行や失認,重度失語がなく.年齢30-80歳の脳卒中患者48名の作業療法記録から,作業療法過程iこ用いられた諸活動を収録した.患者のTSOは1-25週,初回MFT-Sは0-31であった.患者はMFT-S回復プロフィールに基づく作業療法プログラムによって,3-8週間の訓練を受けていた.TSOとMFSとの関係は,すべての患者で双曲線関数に適合していた(森田・他1995).
図11はMFT-S・と活動との関連である.選択されていた活動は2群に分けられる.ひとつは主として患側の腕動作(A群)によって,他は手操作(B群)によって行われる活動である.A群は患側上肢によって遂行される6種の活動から成り立っている.ⅣIFT-Sが低い患者のための活動は,たとえばサンディングのように,多くが肩と肘の運動によって行われている.MFT-Sが高い患者のための活動は,木製ブロック運びのように,手操作と腕動作の組合せで行われている.B群の活動は手工芸であり,3ク.ラスに分けられる.手工芸1の活動では,患側上肢は、たとえばレーシングのように,物体の保持だけを行っている.手工芸2の活動では,患側上肢は、たとえば鋸引きのよう8こ,単純動作を反復している.手工芸3の活動では,患側上肢は両上肢による複合動作を行っている.たとえば、機織りである.MFT-Sが低い患者は手工芸1、高い患者は手工芸3の活動を行っていることが多い.