視覚的補助具の使用訓練は、患者の残存視機能を活用するのに有効である。
1 読みの訓練
a 近方視 新聞または本
b 遠方視 看板、交通信号、まわりの景色、駅の運賃表、黒板
C CCTV 拡大された画面上のモニターを見ながら手元にある読み材料を動かしていくので眼と手を連動させる訓練が必要である。
2 偏心固視訓練
中心暗点のある患者に、中心裔以外で使用可能な有効網膜領域を見つけ能率的に見えるようにする訓練である。具体的には、患者が見たい文字を提示し、左、右、上、下に眼を動かし見やすい領域を探していく方法である。
a 暗点の自覚(アムスラー検査、時計を使った眼の動き、CCTV画面を使って)
b 偏JL、度と方向
c 眼と手の連動
文字を読むのに最もよい嶺域を見つけたら、眼の使い方に慣れるまで訓練を続ける必要がある。
d 遠方視及び近方視訓練
e トレーニングシー トを使用した視訓練(大きい文字から小さい文字へ)
f 補助具を使用しながら新聞、書類等の読みの訓練
3 書きの訓練
この訓練は、書く時に見づらさを訴える患者に行う。通常、罫線の位置がわかれば文字の大きさを想定して補助具なしで書く事は可能だからである。しかし、書き込む時の道具としてコントラストのはっきりする水性ペンまたはフェルトペンを紹介する事が大切である。
4 視野拡大法
a スキャニング
視野を広げる最も単純な方法である。視野狭窄がある時、眼を機能的に動かして周囲の環境を認知するための体系的訓練が必要である。
b 逆単眼鏡
単眼鏡を逆向きに使用すると像が圧縮されて視野が広がる。
c 膜プリズム
眼鏡をかけさせ、視野欠損部分に膜プリズムを貼付する。プリズムの基底は視野欠損方向とする。効率的な眼球運動を習得させる方法である。(写真7)
写真7 左同名半盲の例:膜プリズムは左レンズの耳側で患者の視野を遮らない嶺域に貼付している。