[2]諸活動の実例

以下の実例では,患側は右である.

1輪移し(輪を動かす)
1)前方へ動かす
A 自動介助運動(自己介助)
患者は両手指を組み合わせ,非患側手の母指と示指で机の上の輪(デッキ輪投げの輸)をひとつ取り上げる.輪をポールに向かって動かし、ポールに入れる.

B 自動介助運動(前腕支持)
患者は患側手で輪をつかみ,ポールに向かって動かし,ポールに入れる.この間,前腕は作業療法士あるいはサスペンションスリングによって支えられている.

C 自動運動
課題は患側上肢で遂行される. ポールの高さを屈折曲の自動的可動域の範囲にとどめる.

2)後方へ動かす
患者は患側手で輪をつかみ,自分の背中のほうへ動かし,背部で非患側手に渡す.

 

2 患側上肢の保護伸展(部分的な体重支持)
患者は長椅子に座る.非患側手でひとつの課題を遂行している間、患側上肢は肘を伸ばして手掌を椅子につく(部分的に体重を支持している).必要であれば,作業療法士は肘伸展を介助する.

3 サンディング
患者は種々のサンディングブロックを用いて,この課題を遂行する.サンディングボードの角度は0°から55°の範囲である,患者はブロックの押し上げと引き下げを反復して行う.
A 自動介助運動(自己介助)
B 自動運動
C 抵抗運動(負荷)
D 種々のサンディングブロック

4 木製ブロック
1)前方へ動かす
A 自動介助運動
患者は患側上肢で机上のブロックをひとつ取り上げ,前方へ動かす.動作のあいだ,作業療法士は前腕を支持する.

B 抵抗運動と自動介助運動
ブロックはベルクロで固定され,これを取り上げる動作は抵抗運動となる.課題遂行のあいだ,前腕はサスペンションスリングによって支えられている.

C 抵抗運動と自動運動
前腕の支持がないことを除いて、課題B(抵抗運動と自動介助運動)と同じである.

2)後方へ動かす
患者はベルクロのついた幅の広いベルトを腰部につけている.患者は傾斜角度が可変のボードの前に立つ.25個の木製ブロックがボードにべルクロで同定されている.患者は患側手でブロックをひとつ取り上げ,自分の背部に動かし,ベルトのベルクロに固定する.非患側手を用いて,ブロックをベルトからはがし,机上の箱に入れる.

3) 木製ブロックを回す
傾斜したボードに木製ブロックがねじ込まれている. これを回外・回内運動によって回す.

5 ペグボード
課題はすべて自動運動によって行われる.
A 木製ペグ(¢30mm)とボード
B 木製ペグ(¢15mm)とボード
C 金属製ペグ(¢5mm)とボード
D パーデュペグボード

6 治療用遊具
A ボールをトスする(投げる)
B 倒れ込むポールをつかむ. 押し倒す
C デッキ輪投げを行うげる

7 手工芸
手工芸を利用した活動は,患側上肢が行う動作により,3群に分けられる.
手工芸1:患側上肢の活動は物を保持すること,特定位置に保持することである.
手工芸2:患側手は道具を保持し,患側腕は反復動作を行う.
手工芸3:両側上肢は複合動作を行う.

1)手工芸1
A レーシング
課題遂行のあいだ,患側手はレザーシートを安定して保持する.
B 金属工芸
患側手は釘を保持し,非患側手でハンマーを操作する.

2)手工芸2
A スタンピング
患者はスタンプを握り(あるいはつかみ),紙に反復してスタンプを押す.
B 描画
患者はフェルトペンを用いて線を描く.
C 鋸引き
D 金属工芸
患者は患側手にハンマーを持って,釘を打つ.

3)手工芸3
A ちぎり絵
和紙を用いた絵画である.患者は和紙を細かくちぎり,厚紙に糊付けすることで絵画を作る.
B 折り紙
紙を折って種々の形を作る. この活動には両手の協調運動が必要とされる.
C タイルモザイク
D 木彫
E 機織り
F マクラメ
G 革細工
H 刺し子(キルティング)

 

投稿日:2000年3月31日 更新日:

みんぐる

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