[1]筋電図ポリグラフで示される患側上肢の運動回復の過程

MFSと運動回復段階(Brunnstrom1970)、筋電図(EMG)ポリグラフの関係を37-73歳の脳卒中片麻痔男性患者41名を対象として分析した.脳卒中発症からEMG検査までの期間は4-23週であった.患者11名では,EMG検査を4週の間隔で2-3回行った.患者は椅子に座り,患側の肩関節は基本肢位,肘関節を900屈曲位,前腕は回外位あるいは回内位になるようにして,検者が他動的に保持した.表面電極によるEMGを上腕二頭筋,上腕三頭筋,手指屈筋,手指伸筋から記録した(図23).患者は検者の手を押すようにして、中等度の等尺性収縮で手関節の屈曲,伸展を約3秒間行った.前腕回外位および回内位で、それぞれ3試行を5秒以上の休息をおいて行った.試行中のEMG活動が0.02mV以上の場合.筋収縮ありと判定した.表8に各課題の共同筋活動を模式図で示す(Gellhorn1947:中村1973).このパターンを参照にする.参照にはない筋活動が出現した場合,異常要素とする.参照と一致する活動を正常要素とする.4課題における異常要素と正常要素の数を調査した.

表9はMFSとプルンストロームの運動回復段階の関係である.低いMFS(20-40)は回復段階3,中程度のMFS(40-60)は回復段階4に対応する.低いMFSの患者は患側上肢を共同運動パターンで動かし.れIFSが40以上の患者は分離運動を用いていることになろう.図24は各患者の異常・正常要素の数とMFSとの関係である.MFSと正常要素数との相関は,MFSが0-30の患者では有意(p<0.01)であり,MFSの増加は正常要素の増加と一致している.正常要素数はMFS30以上の患者では,いずれも最大値に達している.MFS44以下の患者では」ⅥFSと異常要素との相関が有意である(p<0.05).しかし,MFS44以上の患者になると、1一IFSの増加と異常要素の減少とは,統計的に有意というレベルには達しないが.関連がある傾向を示している(p<0.1).同じような関係はEMGデータと運動回復段階との間にも観察される.回復段階3以下の患者では,回復段階の改善は異常要素と正常要素の増加と結びついている.回復段階4以上になると,正常要素数は4,すなわち参照と一致する.回復段階の進行につれて起こる異常要素の減少は腕では有意であるが,手指では有意でない.

投稿日:2000年3月31日 更新日:

みんぐる

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