はじめに

脳卒中急性期以降の生存者に対する医学的リハビリテーションの主要な目標には,歩行能力や身辺処理能力のような失われた機能の回復が含まれている。歩行を含めて、大部分の機能的回復は発症後3か月以内にみられ,その後の回復は、言語機能を除いて、観察されても、統計的に有意ではないとする複数の報告がある(Andrewsetal.1981,Skilbecketal.1981.Kelly-Hayes1990)。10m距離の最大歩行速度の増加も歩行訓練開始後,はじめの4週間だけ著しいに過ぎない(Nakamuraetal.1988a)。

Skilbecketal.(1983)は脳卒中後,初期8こは急速な歩行能力の回復があるが,6か月以降にはほとんど変化がなくなると報告した。Wadeetal.(1987)は、脳卒中後13過にわたって歩行能力の回復を調べ,発症から歩行訓練開始までの期間が長くなるほど,13遇以内に通常の歩行速度に到達する可能性は低くなると報告した。したがって,身体的リハビリテーションの初期に歩行能力面での機能的利得を促進することが重要となる。その目的で,われわれはコンピュータ支援による歩行訓練(CAGT:Computer-Assisted Gait Training)を開発した。CAGTプログラムは歩行能力を分析し、訓練の帰結を予測することを可能にした。

また集中的理学療法のあいだに機能的利得を高めることもできる(Nakamuraetal.1988b,1988d)。われわれはCAGTプログラムを10年以上にわたって利用してきた。その結果は有望である。このマニュアルでは,CAGTプログラムの詳細と関連する研究とを紹介する。

投稿日:2000年3月31日 更新日:

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