はじめに

脳や脊髄、末梢神経のいろいろな病変による排尿障害者の排尿の自立と尿失禁対策は、排尿管理の重要なポイントである。1972年Lapidesは排尿障害のある患者が自分自身で導尿するメリットを提唱し、清潔間欠自己導尿法を世に広めた。排尿障害者の基本的排尿管理は自己導尿を行うことで容易になった。尿失禁は身体的にも心理的にも大変な障害となっている。自排尿がある人でも残尿が多い場合(例えば100ml以上)、自己導尿で残尿がなくなることにより膀胱の機能的容量が増し、頻尿と尿失禁が改善する。こうしたことから、自己導尿は現在では、排尿障害者の排尿法の主流となっている。

その一方でいくつかの問題を抱えている。自己導尿していても薬物療法でコントロールできない神経性排尿筋過活動型勝胱による尿失禁があったり、外に出て自己導尿できるような社会環境がなかったり、事情が許さなかったりするとそこで排尿障害者はどうしようもなくなる。もっと容易に社会参加ができるための排尿のプログラムが望まれてきているのである。

その方法の1つとして、間欠式バルーンカテーテル法が1995年塚田 修によって開発され、製作された。間欠式バルーンカテーテルは、必要な時患者自身がバルーンカテーテルを勝胱内に留置し使用することを勧めた新しい方法である。間欠式バルーンカテーテル法の利点は、一時的に使用することで患者のQOLの向上が得られることである。具体的には夜間の多尿に対して行う場合は安眠が確保され、日中の通学・通勤に対して行う場合は行動範囲が拡大し社会復帰が可能となるなど、その人の自己実現および生活の質の改善に大変有用である。使用中のトラブルとしては、尿の混濁、バルーンの破裂によるカテーテルの抜去、尿道よりの出血などを認める場合がある。合併症としてはこれまで重篤な尿路感染症や結石形成などは認めていない。将来的には在宅における介護やおむつの使用量の軽減を目的に展開できる可能性を含んでいる。

本法においては、必要以上に長時間の留置をしないことや、間違った操作をして問題が起こらないように、基本的手技の指導を行うと共に、医療機関の定期的受診を含めた管理が必要である。このマニュアルは排尿障害のある人々へ指導を行う人、患者自身及び介助する人等が利用出来るように作成された。

投稿日:2002年12月27日 更新日:

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