かつて脊髄損傷者を最も悩ませた障害は排泄障害であろう。神経因性勝胱による排尿障害は尿路感染に直結した。頻発する尿路感染は腎機能障害、腎不全に進行して死の転帰へつながる重篤な二次障害を引き起こしたからである。
1970年代に入り、清潔間欠自己導尿法が開発された。本法の普及により腎不全につながるような尿路合併症は激減した。

しかし自己導尿は1日に数回行わなければならず、当事者にとっては身体的にも精神的にもストレスである。外出や社会活動に制約を受け、夜間においては導尿のために睡眠を中断せざるをえない。尿失禁や煩わしい排尿動作を強いられることは自己の尊厳や自己実現の妨げでもある。

バリアフリーが追求される昨今、神経因性勝胱等による排尿障害をもつ人にとって排尿管理の問題は大きなバリアになっている。排尿管理がより簡素化でき、二次障害のリスクも減少できれば排尿障害をもつ人々にとって大きな福音となろう。
本マニュアルでは最新の尿路管理法である間欠式バルーンカテーテル法を紹介してある。

本法はこれまでの導尿法の欠点を補い、バリアを1つとり除くことができるものと評価できる。本マニュアルが間欠式バルーンカテーテル法の普及と脊髄損傷者をはじめとする排尿障害をもつ人々の自己実現のお役にたてば幸いである。

投稿日:2002年12月27日 更新日:

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