10)公共交通機関の利用

電車を利用する場合について、誘導用ブロックの利用方法を例示する。具体的な歩行方法は次のとおりある。

(1)プラットホーム
① 乗車時の利用階段またはエレベーターによりプラットホームに着いたら、電車の通過音などに注意をはらい、線状ブロックを利用して歩行し、線路と平行に敷設された点状ブロックの内側まで進む。図3-35はプラットホーム上を歩行している場面である。杖は点状ブロックを確実に伝わることができるよう常に路面状況を触知できるコンスタントコンタクトとし、プラットホームの内側の歩行を原則とする。歩行速度は通常より落とし、線路と平行する点状ブロックを白杖で触知したら杖の位置まで進み、電車の到着を待つ(図3-36)。以後、乗車の際は誘導用ブロックの利用ができないので単独で乗車する自信がないときは援助依頼することが望ましい。

② 降車後の利用
降車するときは必要に応じて援助を依頼し、電車から直角に離れるように点状ブロックを越えるまで進む。階段やエレベーターの位置がわからない時は一旦停止し、乗降客の動き、階段昇降の音などの辛がかりを利用して進行方向を判断する。通常、プラットホームを移動するための線状ブロックは、階段やエレベーター付近以外は敷設されていない。そのため、階段やエレベーターから離れた場所で降車した場合は、点状ブロックを誘導用の線状ブロックの代用として利用する。

③ 歩行上の留意点
a)電車の走行に注意を払い、走行時の歩行はできるだけ控える。
b)白杖での歩行は、通常、杖での2歩先の確認と歩行とを同時に行うが、安全性を考慮して確認後、歩行するという意識を持つ。
c)線路と平行な点状ブロックを伝わるときは、プラットホーム中央よりの安全性の高い位置を使う。

(2)改札口

① 改札口までの歩行
白杖を振りながら線状ブロックに沿って進み改札口を発見する。発見の手がかりとして駅を利用する人の流れ、自動改札機の音などが有効である。また、改札口の前後には、点状ブロックが敷設されているので、点状ブロックで一旦停止するようにし通過する。通常、改札口は幅が狭いので通過中はブロック上を歩行する。

② 改札口からプラットホームまでの歩行
改札口とプラットホームの位置関係は駅によって異なり、同一平面上にある駅や跨線橋、地下道で結ばれているものがある1。また、発番線は線状ブロックのみではわからないので、移動開始前に目的とするプラットホームと改札口の位置関係を理解しておく。プラットホームに行くために階段を使う場合、通常階段にはブロックは敷設されていないので、階段昇降中に曲がってしまわないよう注意する。

(3)コンコース
コンコースは大勢の乗降客が通れるよう幅の広い空間を持ち、視覚に障害のある方には歩行しにくい環境である。そのためコンコース内には電車利用時には必ず必要となる券売機、改札口ヘと移動しやすいよう、また、目的物発見が容易になるよう誘導用ブロックが敷設されている。このようなコンコースを歩行する場合、あらかじめ線状ブロックのどちら側に券売機や改札口があるかを知っておくことが有効である。図3-40では右側にある改札口に向かうため、分岐するラインに杖が当たるよう線状ブロックの曲がる側を歩行している。

投稿日:2002年12月26日 更新日:

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